EXHIBITIONS

アートフェア東京2009年
会期|2009年4月3日(金)~4月5日(日)
会場|東京国際フォーラム

出品作家|漆原 夏樹・大島真由美・狩野宏明・山内 隆

>作家コメント

漆原夏樹
私は絵画の持つ娯楽性について思いを巡らせながら制作している。その娯楽性の拠り所とは絵画が内抱する物語であり、また視覚的に脳を悦ばせる造形であると考える。
物語とは、太古より私たち日本人の美意識に組み込まれている装飾性、遊び、見立ての感覚を駆使し、様々な対象物や現象を絵画の中に置き換えることによって、魅惑的な謎や暗喩を含んだ鏡面世界の具現化によって表される。また造形においては金属箔等の現象としての輝きや岩絵具特有の発色によって、仏教絵画のごとく深遠なる空間の獲得を目指し、対象物の関係性の構築に関しては、琳派の視覚を歓喜させる精神性から影響を受け、発展させることを試みている。
現在の混沌とした実社会においては、このように人間としての根源的な感覚に訴える表現にこそ力があるのではないだろうか。その思考が今現在の私の創作活動の軸になっている。

大島真由美
泡は、不思議な存在です。
海辺を歩いて、波打ち際の泡を見ていると、色々な思いに駆られます。
海は可能性に満ち、美しく、恐ろしく、強く、深くあります。それが海岸にいる私の、一番近くに現すものが泡です。
見える物(陸)と見えない物(海)の境目に生まれるのが、私にとっての泡です。それは、見えなくても感じられなくても、何かが目の前にある証拠です。
泡が、「泡」という物でもあり、水の現象でもあることは、人間や他の生き物の有様と重なりもします。
触れば壊れる泡ですが、いたるところにあるのもまた泡です。コーヒーカップの中から、宇宙の泡構造まで。
・・・泡とその周辺にある魅力はつきません。

狩野宏明
私の作品は、様々な場所に取材した実際の風景をもとにして制作しています。
私の場合、本来異なる場所や文脈に属していたモチーフ同士を組み合わせて再構成することで、何か不穏な空気を孕んだ世界が立ち現れてくるようです。それは私というフィルターを通した現実の反映なのかも知れませんし、日常に根本的に潜む不安や狂気の表出なのかも知れません。誰もが現実世界の中で感じうる何かしらの共通感覚が捉えられていれば、と思っています。

山内隆
永続する魂を形にすることは作り手の永遠のテーマかもしれません。 僕は笑って過ごすことが好きです。  でも作品は泣いている。 笑いの影には涙があります。 悲しみと笑いとを通して永続する魂が何であるのか問うているのです