EXHIBITIONS

金属による彫刻作家、井原宏蕗の個展を初めて開催いたします。
動物をモチーフに制作を続ける井原は、金属を小さく切りそれを繋ぎ合わせるという制作方法を取っています。これは幼いころ飼っていたウサギをとても可愛がっていたのに最後まで面倒を見ることが出来なかったというトラウマから、いまでも当時の抱いた感覚を思い出すことが多くその感覚を大切に制作していることに由来します。想像によるウサギの感覚を表現するために、小さく切った金属が寄り集まって形が出来上がっていく様を現したのがその制作方法の始まりです。「消失と出現」が井原の制作におけるテーマの一つになっているのですが、人間は物を生み出すこと(出現)に夢中になってきたのに対し消失していくものまたは消失させなければならないものにはあまり眼が向きません。時と場合において動物はその対象となり、井原の作品では作風と同時に制作方法にもそれが表れています。最近では糸(加工された自然物)で作った羊やラビットフード(人工物)で作ったウサギなどその動物にとって関わりの深いものによって作った原型を焼いて「消失」させ、金属として「出現」させるという新たな制作方法にも挑戦しています。
今展では大作を中心に、小品数点を発表する予定です。ぜひご覧くださいますようお願い申し上げます。


井原宏蕗 略歴
1988 大阪生まれ。
2011 多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業
「てつのどうぶつえん」(横浜市立金沢動物園/神奈川 横浜)
2012 大地の芸術祭「越後妻有トリエンナーレ2012"どうぶつの森プロジェクト"」(新潟)
2013 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科彫刻専攻修了
「fringe of nature」(GALLERY le bain/東京 六本木)

作品部分
左:“羊をめぐる剖検” 91(h)×53(w)×107(d)cm ブロンズ 2015、右:“a score of years” 60(h)cm テラコッタ・銅 2015
“hunting defecation” 52(h)×33.5(w)×35.5(d)cm ブロンズ・真鍮 2015
左:“feeding” 21(h) ブロンズ 2014、右:“cycling” 20(h) ブロンズ 2014
“a score of years” 60(h)cm テラコッタ・銅 2015
“羊をめぐる剖検” 40(h)×20×52? 2014(参考作品)
“羊をめぐるparallax” 43(h)×38(w)×22(d)? 2014(参考作品)
“melting” 19.5(h)×11.5(w)×15(d)? 2015(参考作品)