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ギャラリー広田美術では 2020 年 3 月 27 日(金)から 4 月 11 日(土)まで、財田翔悟展を開催いたします。

愛情や幸せを表現しようとすることを制作の大きなテーマとしている財田は、今回身近なものを通して抱く幸福と恐れの気持ちを表現しようと試みています。

何かを得る、何かを持つ、ということを人間は望み、それらを実際に得ることは幸福の形の一つであると言えます。様々な要素で構成され、人としての輪郭を得ていく人間は、物質的なものも非物質的なものも人として存在するために必要としますが、いつかは必ず失うものであるにも関わらず、それらを失うことを恐れています。つまり、幸福と恐怖は隣り合わせだと財田は考えました。

昨今、大きな自然災害が続いていますが、自然は様々な恵みをもたらすと同時に様々なものを根こそぎ奪うこともあります。その為か、人間は古より山や海などの自然を敬い畏れてきました。
今回の個展の大作では、恵みと災いをもたらす象徴として山をモチーフにしており、作家にとっての大切なものの象徴として女性や猫を内包する毛布や脱ぎ散らかした服を山に見立てています。多くの情報に囲まれながら、財田が実感、体感できる狭い箱庭のような世界で幸せと危機感を感じるための装置として描いているようです。

「なにかを抱えることは基本的には煩わしいものである。ただ、その煩わしさが辛いときもあれば、落ち着くときもある。幸せは煩わしい。いいことばかりではない。だからこそ愛おしくなる。 」という財田翔悟の大作を含めた約 15 点の新作展です。

是非ご覧いただきますようよろしくお願い申し上げます。

財田翔悟「ヤマヤマヤマカリ」.jpg