各38.5㎝(扇面)、速水御舟大成(二)、No266.267所載 売約済み
1925年(大正14年5月)
早世の日本画家である速水は1894年に東京で生まれました。幼少から絵に興味を持っていた御舟は画家松本楓湖の塾に入門し、日本画にはなかった写実的な作品が評価された作家です。大変寡作な作家で関東大震災にて作品が消失したこともあり、現存の作品は約600点といわれています。
ふたつの作品は対で描かれ、「朧月」では扇面画独特の放射性を生かし、夜の雲の中に陰っていく月を感じることができます。一方の「山桜」では金地に淡い桜色をつかい、春の陽気さを描き、月の冷たさとの対峙を表しているように思えます。
作品はどちらも1958年(大正14年5月)に描かれ、4月に単身妙義山(群馬)に登山し2泊したのち軽井沢に赴いた際に制作したと思われます。月や桜は現在でも誰かに思いをはせる代表的な対象物として用いられることがあります、御舟も登山をした妙義山で見た朧月に思いをはせながら描いたのでしょうか。
1894年 | 東京生まれ |
1908年 | 松本楓湖の安雅堂画塾に入門 |
1917年 | 最年少で日本美術院の同人に推挙 |
1930年 | ローマ日本美術展覧会の美術使節として渡欧 |
1935年 | 逝去(享年40歳) |