8F(45.5×38.1㎝)、油彩、キャンバス、日本橋高島屋 第9回丹楓会出品、油彩画全作品集掲載、NO504所載
1958年
熊谷守一は写実絵画から出発し、表現主義的な画風を描いたのち「熊谷様式」ともいわれる単純化した形や、それを囲む輪郭のスタイルを確立した作家です。
代表作である「陽が死んだ日」「ヤキバノカエリ」「猫」など数多くの作品を残した熊谷は1977年、97歳で逝去しています。
1956年に脳梗塞で倒れて以来自宅から出なくなり、晩年の20年は小さな家と庭のみで過ごしました。本作「雨雲」は、倒れてから2年後の1958年に描かれた作品です。
赤い輪郭で描かれた灰色の雨雲の奥には青空の中に虹がかかっています。激しい夕立後の一瞬を切り抜いたような本作品は、太く描かれた輪郭の描写の中にのびやかな虹色の線が画面の外へと続きそうな広がりを感じさせる作品となっています。
1880年 | 岐阜県生まれ |
1900年 | 現・東京藝術大学西洋画科へ入学 |
1916年 | 二科会会員に推挙 |
1977年 | 逝去(享年97歳) |