臓腑の森

狩野宏明

2012年制作
162.0×194.0㎝ 綿布、パネル、油彩

作家コメント

本作品の主題は、災害復興、平和維持、環境保全を目指す人間の、世界規模での新しい関係性の確立への願いです。

画中に描かれた工事現場は自然破壊を推し進める都市開発に対する懸念の表現と同時に、自然との関わりを考慮しながら人間の生活を整備するための維持、修復、復興の象徴でもあります。

また、人体や動物の内臓は、戦争や死の痛みを表すと同時に、解剖、手術、移植による病気の治療を想起させるモチーフでもあり、現代における諸問題の原因を究明し、その解決方法を見出す共同体としての人間の意思の象徴でもあります。

そして、自然の風景は、これら全ての人間の営みを支える恵みであると同時に、脅威ともなりうる畏怖すべき対象として描きました。