テレプレゼンス

狩野宏明

2015年制作
18.0×14.0㎝ 油彩、綿布、パネル、アンテナ

作家コメント

美術評論家の伊藤俊治氏はテレプレゼンス・テクノロジーについて以下のように述べています。

" テレプレゼンス・テクノロジーとは「いま」われわれ自身のいる「ここ」で、「あそこ」という隔たった場所や「あのとき」という異なった時を体験できる技術の総称である "

この技術は「テレフォン(「離れた音」の意)」や「テレヴィジョン(「離れた視覚」の意)」、あるいはインターネットなど、現代のメディアに通底するものであるだけでなく、絵画や写真などの芸術作品が持つ特性のひとつでもあります。

そしてこれらのメディアを成立させるのは、目の前の事柄や事象から、別の事柄や事象を想起しうる人間の想像力です。

本作品では、過去や未来と通信できる架空の公衆テレビ電話を描いてます。限られた空間と時間を生きながら、その限界を常に超えることを試みる人間の想像力と欲求を描きました。

(参考文献『移動する聖地 テレプレゼンス・ワールド』伊藤俊治、港千尋監修、NTT出版株式会社/1999年)