Beautiful Dreamer

眠る⼈物をモチーフとして、⼼⾝の覚醒と弛緩のバランスをテーマに描いた。

フランス旅⾏で訪れた美術館では、眠る⼈物をモチーフとした絵画や彫刻を多く⾒た。
特に19世紀後半から世紀末にかけての⻄洋美術において、眠りは重要な主題であった。
⽬ を閉じた無防備な脱⼒状態の⼈物の造形美や官能性の表現に加え、近代社会の多忙さや視 覚情報の過剰さに疲弊した⼈々が安らぎを求める⼼を表すテーマとして重要な意味を持っ ていた。
また眠りは死を暗⽰する伝統的主題でもある。
加えて、夢と現実を繋ぐ創造的⾏為 として20世紀のシュルレアリストたちの中⼼的関⼼でもあった。
仮想現実が発展したポスト・インターネットの現代においては、⽬を開けたままでも夢のよ うな世界が体感できる。
⼀⽅で、常に膨⼤な情報に晒され覚醒状態にある⼼⾝のバランスを 保つため、眠りの重要性も⾼まっている。

本作では眠る⼈物をモチーフとした複数の彫刻作 品を参照しながら、⼼⾝の休息状態を描いた。
タイトル《Beautiful Dreamer》 は、19世紀アメリカの作曲家スティーヴン・フォスター の歌曲（1862年）から引⽤した。