姫神様を知らないか

狩野宏明

2026年制作
80S(145.5×145.5㎝) アクリル絵の具 ミューグラウンド、パネル、2026

作家コメント

泉鏡花『⼭海評判記』のクライマックスシーンに着想を得て描いた。 『⼭海評判記』は、昭和初期の東京と能登を舞台に、北陸の霊峰・⽩⼭の信 仰へと連なる怪異を描いた作品。 物語の主軸は、姫沼綾⽻を⾸ 領として⽩⼭姫神を信仰する⼀党が、主⼈公の ⽮野とお李枝のまわりに出没し、数々の怪異によってお李 枝を⼀党の後継者 として引き取ろうとする話である。 クライマックスシーンでは、お李枝たちが⼭道で襲われて絶体絶命の危機に 瀕しているまさにその時、 姫神の使者が突如現れ、主⼈公を襲った集団に対 して⼈知を超えた圧倒的な⼒を発揮して縦横無尽に打ち負かす。 作中随⼀の痛快な場⾯であるが、そのシーンの後はお李枝を連れ去ろうとす る使者の不思議な唄が続き、読者の感情は宙吊りになったまま物語は幕を閉 じる。 本展のタイトル作品である本作は、姫神にまつわる怪異を扱った『⼭海評判 記』を⼿がかりに、現実と幻想の境界において、⼈間の理解を超えて作⽤す る⼒を描いた