箱庭の世界

財田翔悟

2020年制作
253×612㎝/綿布、ピグメント、岩絵具 アクリル、硫酸カルシウム、箔/2020年

作家コメント

身近なものを通して抱く幸福と恐れ、その表裏一体の気持ちを表現していま す。 手前の山のようなものは大切なものの象徴である女性や猫を内包しています。山のように見えるものは毛布や脱 ぎ散らかした服をモチーフにしており、日々の生活が垣間見えるような表現を取り入れました。 目の前にあるのは狭い部屋の中に散らばる雑多なものたちは煩わしさと幸福を、広い山々の風景をは壮大な恩恵 と災害の象徴として扱っています。 現代は情報過多で自分の枠外のストーリーがそこかしこに存在しています。しかしながら、それらを全て自分の 中に取り入れることは当然できず、結局のところはある程度の自分の身の回りのことしか目を向けれれないもの です。 結局のところ、大きな災厄に恐怖することはその身近なものを失うことへの恐怖なのではないかと考えました。 日々関わっている雑多なものたちは煩わしさも感じるが、失うことはこの上なく恐いものたちです。自身にとってこのモチーフは恐怖の原因にもなりうる要素でもあるため、これらを使い画面を構成しました。

掲載|「財田翔悟展 -言葉にかけては、おぼつかないものだから-」展示風景(新宿・佐藤美術館での個展にて|2022年)
撮影|ⓒ松尾宇人